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鳥取ブライツ

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その日は両エースが投げ合う緊迫した試合展開だった。こちらの攻撃中、ベンチからランナーに『盗塁してはいけない』というサインを出した。相手ピッチャーが投球動作に入ると、ランナーの彼は盗塁を試みた。ベンチから見ていて若干無謀なチャレンジだった。結果はタッチアウト。ベンチに走って帰ってきた彼はとても申し訳なさそうで、とても悔しそうだった。
監督の私は、彼に「サイン見た?なんで走った?」と彼の言い分を尋ねた。彼は息を弾ませながら小さな声で「勝ちたかったんで…」と言った。
野球は団体競技だからチームの規律を守らなければならない。『星野君の二塁打』という話に出てくる監督だったら、きっと彼にペナルティを与えるだろう。
しかし、私は「そうか、わかった。」としか言えなかった。小学生の彼の「勝ちたかった」という言葉が重く感じたからだ。もし彼の口から出た言葉が「盗塁できそうだった」などであれば私は叱っていたと思う。
普段、私は子ども達に「一生懸命やった結果の失敗は絶対に怒らない。だから思い切ってプレイしなさい。」と言っている。きっと、小学生の彼なりに試合展開や対戦相手の強さを肌で感じ、チームの役に立ちたい一心で、非常に勇気の要る決断をしたのだろう。
その試合に勝ったか負けたかは覚えていない。試合帰りの運転中、勇敢な行動をとった彼と、彼に勇気ある決断をさせたくなるようなチームメイト(子ども達)、保護者、関係者に恵まれたことを誇らしく思ったことは、はっきりと覚えている。
鳥取ブライツ 監督 桃木 万智
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